30キロ走れなかった日を、失敗にしない

今回は、秋以降の長距離走に向けてトレーニングを続けている患者さんの、ランニングフォームと身体の状態を確認しました。
予定していた練習は30キロ走でした。
ところが、朝早くから走り始めても気温が高く、15キロで終了したそうです。
水分は1リットル以上摂っていました。
それでも帰宅時には、体重が1キロ以上減っていたとのことでした。
身体から、それだけ多くの水分が失われていたということです。
目標の距離を決めていると、半分しか走れなかったと感じてしまうかもしれません。
しかし、この日の15キロは失敗ではありません。
むしろ、身体の反応を見ながら中止できたことが重要です。
暑い時期は、同じペースで走っていても心拍数が上がりやすく、発汗量も増えます。
疲労が強くなると、フォームも粗くなります。
脚を置く位置や腕振りを意識する余裕がなくなり、身体を守るための練習が、身体を消耗させる練習へ変わってしまいます。
今回は、8月中に無理をして30キロを達成するのではなく、暑い時期は15キロ前後を中心に走りながら、秋に向けた土台をつくることにしました。
そして、気温が少し落ち着く9月に、改めて30キロ走を狙います。
予定を変更することは、目標を諦めることではありません。
目標へたどり着くために、身体に合った道順へ変えることです。
フォーム動画も確認しました。
以前より腰の位置が上がり、地面から受けた反力を上方向へ使えるようになっていました。
一方で、まだ前方向への推進力は弱く、重心がお腹の位置で少し後ろへ残っていました。
その原因の一つが、腕振りです。
腕を後ろへ引く力が弱いため、骨盤が後ろへ倒れやすく、接地位置も少し前に残っていました。
走る時に前へ進もうとして、腕を前へ強く振る方がいます。
しかし、前へ進む力をつくるためには、腕を後ろへ引く動きが重要です。
腕を後ろへ引くと、反対側の肩や骨盤が前へ進みます。
その動きを地面反力と組み合わせることで、身体が前方へ運ばれやすくなります。
今回は、腕振りと骨盤の動きをつなげるドリルと、少し前へ進むようなジャンプ練習をお伝えしました。
身体には、ハムストリングスの軽い緊張が残っていたため、鍼通電で調整しました。
以前より痛みの程度は軽くなっています。
距離を伸ばすこと。
フォームを整えること。
身体を回復させること。
すべてを同時に最大限行うことはできません。
季節や体調に合わせて、今は何を優先する時期なのかを決める必要があります。
夏は、距離を競う季節ではなく、秋へつなぐ身体をつくる季節。
そう考えると、15キロでやめた一日も、次の30キロへ続く大切な練習になります。

